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SESSION

2026.09.30

REALIZE THE POTENTIAL 
ブリヂストンの新たな挑戦、Formula E

プロローグ -フォーミュラE参戦にかける決意と覚悟-

数々の栄光を勝ち取ったF1参戦の終了から16年。その間も国内外の様々なレースカテゴリーにタイヤを供給してきたブリヂストンだが、2026/27シーズンから「FIAフォーミュラE世界選手権」に単独タイヤサプライヤーとして参戦することが発表された。ブリヂストンはなぜ電気自動車の世界最速を決めるトップカテゴリーへの参戦を決めたのだろうか。キーパーソンたちのリアルな声を通じて、ブリヂストンのフォーミュラEにかける想いと、舞台裏に迫る。

トップカテゴリーで戦うということ

今から遡ること29年前。モータースポーツの最高峰、F1への参戦をスタートしたブリヂストンは、参戦二年目にしてマクラーレンのドライバーズ&マニュファクチャラーズのダブルタイトル獲得に大きく貢献した。その後もライバルメーカーとの戦い、度重なるタイヤレギュレーションの変更、ワンメイク化による全チームへの単独供給など様々なハードルを乗り越えながら、極限の舞台で最速・最強のタイヤを追求。14年間に及ぶF1参戦は、通算242戦175勝という華々しい成績を残して、2010年の最終戦となるアブダビGPで幕を下ろしたのだった。

あれから16年。ブリヂストンが再びモータースポーツの最高峰に帰ってくる。舞台となるのは、電気自動車で競われるFIAフォーミュラE世界選手権(以下、フォーミュラE)。2026/27シーズンから、単独タイヤサプライヤーとして参戦することになったのだ。

「フォーミュラE参戦が決まったときは、『やってやるぞ』という気持ちでした。タイヤサプライヤーとして、ベストなタイヤを供給するのは当たり前。理想は私たちのタイヤを通じて、使用するチームやレースを観るお客様に喜んでもらい、シリーズそのものの成功に貢献することにあります」

そう語るのは、フォーミュラE参戦を指揮するチーフプロダクトオフィサーの今井 弘。2003年からブリヂストンのF1タイヤの開発に従事し、2009年にマクラーレンへ。名門チームでレースエンジニアリングの責任者にまで上り詰めたのち、2025年、古巣ブリヂストンに復帰。ブリヂストンの中と外から、トップカテゴリーで戦うことの厳しさと喜びを味わってきたエキスパートである。

「F1時代を思い返すと、日常では得られない経験の連続でした。常に大きなプレッシャーに晒される中で、どうすればいいパフォーマンスを発揮できるのかを考え続ける日々でした。今後はフォーミュラEというシリーズを支える一員として、同じような責任と緊張感を味わうことになるでしょうね」

フォーミュラEのマシンは、2026/27シーズンから「GEN4」に進化する。既存の「GEN3」に比べると最高出力は71%アップ、空力で得られるダウンフォース(マシンを路面に押さえつける力)も格段に増大し、タイヤに求められるパフォーマンスレベルはこれまで以上に高くシビアに。しかし今井は、自分たちの技術と開発力に自信をのぞかせる。

「当初はGEN4の実車が完成していなかったため、シミュレーションを駆使したタイヤ開発を進めていました。しかし初の実車テストから高いパフォーマンスを発揮することができ、これこそブリヂストンが培ってきた技術や知恵、経験の賜物だとあらためて思いました。レースで走らせてみなければわからないこともありますが、今のところ手応えは十分。最高峰の舞台への復帰に向けて、私自身とてもワクワクしています」

2026年12月18日・19日、サウジアラビアのジェッダで開幕するフォーミュラE。16年ぶりとなる最高峰の舞台で、ブリヂストンのタイヤはどんなパフォーマンスを見せてくれるのだろうか。その答えを支えるのは、2種類のタイヤに込められた開発陣の挑戦だ。次回は、開発者へのインタビューを通じてその舞台裏に迫る。